ダイヤモンドとジルコニアの違いは?選び方とメリット

キラキラと虹色の光で輝くダイヤモンドは、数ある宝石の中でもトップクラスの支持を誇ります。世代を問わず憧れの存在として名高いダイヤモンドですが、自然界が育む貴重な天然産物ということもあり、その希少価値の高さから高値で取引される傾向があります。そこで近年人気を博しているのがジルコニアです。
今回はダイヤモンドとジルコニア、それぞれの特長と選ぶ上でのメリットをご紹介します。

「ジルコニア」とは

ジルコニアはジルコニウムを酸化させて作る「二酸化ジルコニウム」を指す言葉です。和名を「風信子石」といいます。天然の鉱石として産出されることもあり、古くからダイヤモンドなどと同じく装飾品等に用いられてきました。
ジルコニアは透明で高い屈折率を誇る素材ですが、ここに酸化イットリウムや酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどを添加して加工し、安定的な結晶化を人工的に行ったものを「キュービックジルコニア」と呼びます。現在、宝石などの装飾品として扱われるジルコニアは、ほとんどの場合、このキュービックジルコニアを指しています。「CZ」や「CZダイヤモンド」などと表記されることもあります(以下、キュービックジルコニアを「ジルコニア」と略称で記載)。
ダイヤモンドが40億年かけて自然が生み出す天然物である一方、キュービックジルコニアは人の手によって組成することのできる人工石です。
ジルコニアの特長は、その透明度と屈折率の高さにあります。多くの宝石における光沢の分類が「ガラス光沢」である中、ダイヤモンドとジルコニアは「金剛光沢」という特殊な光の反射を行います。この美しい輝きが、ジルコニアが高い人気を誇る理由のひとつです。

ダイヤモンドとジルコニアの見た目はほぼ同じ

ダイヤモンドとジルコニアの見た目に大きな差異はありません。ジルコニアは別名「人工ダイヤモンド」や「フェイクダイヤ」と呼ばれるほど、ダイヤモンドとほとんど変わらない輝き方を見せます。屈折率や硬度はダイヤモンドのほうがわずかに高いとされていますが、物質的性質が似ているとはいえ、見た目はほとんど同じです。ダイヤモンドとジルコニアを並べて見比べたとしても、知識を持たない一般人が見分けることはまず難しいでしょう。

ダイヤモンドとジルコニア、それぞれの見分け方は?

ダイヤモンドとジルコニアを目視で見分けるには、主に3つの方法が考えられます。

(1) 薄暗い室内で輝きを比べる
ダイヤモンドはジルコニアに比べ、屈折率と硬度が高くなります。そのため、光の少ない環境下ではダイヤモンドのほうがより強く輝きます。
(2)息を吹きかける
ダイヤモンドは熱伝導率が高いため、息を吹きかけて表面を一時的に曇らせたとしても、すぐに曇りは消え、元に戻ります。一方でジルコニアはダイヤモンドに比べると曇りが若干長く残ります。
(3)水を垂らす
ダイヤモンドは水を弾く性質があるため、表面に垂らした水滴は丸い球状になります。一方で、ジルコニアは親水性といって水に馴染みやすい性質があるため、垂らした水滴は表面に馴染んで平たくなります。
(4)白い紙に点を書き、その上に置いて真上から覗く
ダイヤモンドの場合、屈折率が高いため、ジルコニアに比べると紙上の点が見えにくくなります。
しかしながら、これらの見分け方はあくまでダイヤモンドとジルコニアの両者を同時に並べ、比較した場合にわかる違いです。どちらか単体だけを見て判断するのは一般人には困難だといえるでしょう。

ダイヤモンドを選ぶメリットとは

ダイヤモンドは数ある宝石の中でも揺るがぬ人気を誇る鉱石です。高い屈折率が生み出す美しい輝きと、虹色の光は古くから人々を魅了し続けてきました。
ここではジルコニアと比較する際に、ダイヤモンドを選ぶメリットをご紹介します。

天然物のため希少価値がある

ダイヤモンドは地球の表面から120km以上深い場所にあるマントルで、高い圧力と温度によって形成されたとされていますが、実際の仕組みにはいまだ謎が残っています。しかしながら、その組成体を省みると、少なくとも数十億年前~数百年前に自然発生的に生まれたものであるといえます。
人類の歴史をはるかに超える年月をかけて炭素が結晶化し、マグマに乗って地表へ噴出してきた奇跡的な産物こそがダイヤモンドです。ダイヤモンドを含む可能性のあるキンバーライトという火成岩のうち、実際にダイヤを含んでいるものは全体の約15%しかないとされています。さらにはその中で採掘における採算性があるとされているものはわずか1%のため、世界的にも希少価値が高くなっています。

硬度が高いため、カット面が鋭利になりやすい

ダイヤモンドの硬度を10とした場合、ジルコニアの硬度は8.5と、ダイヤモンドの方がより硬度が高くなります。そのため、光を美しく反射する58面体のブリリアントカットを両方に施した場合、原石が固い分、ダイヤモンドの方が角をシャープに削ることができるとされています。
カットは、ダイヤモンドの品質を決める「4C(カット・カラット・カラー・クラリティ)」のひとつにも上げられるほど重要な要素です。輝きを追い求めるため、より精巧なカットを求めるのであれば、ダイヤモンドの方に分があるといえるでしょう。

光の屈折率が高い

ダイヤモンドの屈折率は2.417で、天然鉱物の中でも最大クラスとされています。ジルコニアの屈折率は2.150と、ダイヤモンドに比べるとわずかに低くなっています。そのため前述した通り、薄暗い部屋の中など光の少ない環境でも、ダイヤモンドは輝きやすいのです。

ジルコニアを選ぶメリットとは

ジルコニアはダイヤモンドとほとんど変わらない見た目のため、美しい虹色のプリズムや高い屈折率による輝きを楽しめます。また、人工石だからこそ叶えられる要素やメリットを多く持っています。ここではジルコニアを選ぶメリットをご紹介します。

ダイヤモンドに比べて価格が安い

希少な天然物であり、地球上での産出量が決まってしまっているダイヤモンド。かたやジルコニアは人工鉱石であるため、素材と加工環境さえあれば安定的な製造が可能です。安価で作ることができるため、1カラットあたり100円~300円程度で供給することができます。価格はダイヤモンドの数百分の1でありながら、ダイヤモンドと同等クラスの輝きを楽しむことができるのは、ジルコニアにおけるもっとも大きな特長のひとつです。

インクルージョン(内包物)が発生しない

自然物に100%完璧なものは存在しません。ダイヤモンドは天然石のため、インクルージョンと呼ばれる内包物を含んでいることがあります。インクルージョンとはダイヤモンドの内部に、無色透明の結晶から有色不透明の結晶まで、さまざまな鉱物の結晶が存在することをいいます。インクルージョンがある場合、多くはその発生箇所をカットし、研磨することで対処しますが、位置によってはカット後も中に残ってしまう場合があります。これは、ダイヤモンドの品質を決める「4C(カット・カラット・カラー・クラリティ)」の中のクラリティに相当する要素で、宝石そのものの価値を大きく左右します。
ジルコニアは人工石のため、インクルージョンを一切発生させることなく、完璧な仕上がりが実現できます。そのため条件次第では、ダイヤモンドよりも美しい輝きを目指すことが可能です。

豊富なカラーバリエーションを実現できる

ジルコニアの主流はダイヤモンドと同じ無色透明のものです。しかしながら、人工石としてカラーバリエーションをつけることも可能です。金属元素を添加すれば、ピンクや緑、青、オレンジといった自然界ではなかなか見られない色合いを実現できます。

使うシーンに合わせて石を使い分けよう

ジルコニアは、単なるダイヤモンドの模造品ではありません。憧れのダイヤモンドと同等の輝きを数百分の1の価格で手軽に身に着けられるだけでなく、ジルコニアにしかないメリットや特長も多くあります。
宝石や装飾品に対する価値観は人それぞれ異なります。使うシーンや自分にとっての優先度を考慮しながら、より良いと思えるものを適宜選択していきましょう。
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